Aさんの夫のBさんは夫のいるCさんと不倫しました。Bさんは、過去にも不倫をしていましたが、Aさんは子供のために離婚はしたくありませんでした。
しかし、Aさんは今後も夫が不倫をするのは許せないので、この際きちんとけじめをつけておきたいと考え、当事務所に相談に来られました。
Aさんが不倫相手のCさんに損害賠償を求めた場合、Cさんの夫であるDさんがAさんに損害賠償を求めることが予想されました。Aさんとしては、自分が得る損害賠償金よりも夫であるBさんが支払う損害賠償金が多くなっても、Bさんに反省を促すため自分で支払って欲しいと思っていました。
弁護士はCさんに文書を送り、支払える程度の損害賠償金を請求しました。その結果予想通りCさんは夫のDさんに不倫のことを告げたと思われ、DさんからはBさんに損害賠償の請求をしてきました。
BさんがDさんの請求を認めたので、CさんもAさんの請求に同意しました。弁護士は、CさんがBさんとの不貞行為をAさんに謝罪するとともに慰謝料を支払い、今後Bさんと関わりを持たないという内容の合意書を作成し、Cさんから署名と捺印を貰いました。
Aさんは夫の不倫相手に謝罪させ、慰謝料を支払わせることができました。また、夫には、不倫相手の夫に損害賠償金を支払わせることにより、きついお灸をすえた形になりました。
又、今後Aさんが離婚することがあった場合、この合意書は夫の不貞行為を証明するものなので、離婚条件を決めるうえの切り札にもなります。
Aさんは、夫の不倫に大きな精神的ショックを受けましたが、自分の意図していた納め方ができて納得することができました。
通常、双方が配偶者を持っている男女の不倫行為(ダブル不倫)は、双方の配偶者が不倫の相手方に損害賠償を請求する権利があります。従って、自分が配偶者の不倫相手に損害賠償を求めても、配偶者が相手方の配偶者から損害賠償を求められることがあります。
離婚をしない場合、家庭としての金銭の流れとしては、損害賠償金を貰ってもそれを取られてしまい、差引ゼロになることが多いのです。
不倫によって、配偶者は精神的に傷つけられたうえに、その損害を金銭的に賠償してもらえないという理不尽なことが発生することがあります。
弁護士は、このような理不尽なことが少しでも軽減されるよう、委任者の気持ちを理解し、最善の対応を取るように努めています。